大阪市中央区南船場の産科・婦人科 みつもとレディースクリニック

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妊娠にあたって

不育症

新緑

妊娠の診断がなされ、家族みんなで喜んでいるのに、残念ながら流産に至り、つらい思いをされることがあります。しかも一部の女性では次回の妊娠も流産を繰り返すことがあり、不妊症と区別して不育症と呼んでいます。

厚生労働省の報告書の資料から、全体の平均流産確率は13.9%で、計算上では妊婦の約7人に一人が流産を経験する事を示しています。
またその報告書で年代別で見ると、35~39歳区分で流産率は20.7%、40歳以上で41.3%と高齢ほど流産率は高くなっています。
参考資料:「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」※外部リンクです。

つまり、反復流産に対してはその原因を調べ、流産予防の治療をする必要があります。

原因

不育症の原因には胎芽の染色体異常、子宮の形態異常(中隔子宮、双角子宮)、内分泌・代謝異常(甲状腺機能亢進・低下症、糖尿病)、血栓性素因(抗リン脂質抗体症候群、血液凝固因子異常)などさまざまですが、厚生労働省研究班がまとめた流産に関する実態調査で2007年までの20年間に名古屋市立大病院を受診した不育症の夫婦(1676組)の調査の結果から不育症の原因のうち51%が確率的要因で発生してしまう胎児染色体異常であると推定されています。

治療

治療に関しては、原因により対応が異なりますが、子宮の形態異常には主に手術を、内分泌・代謝異常には主に甲状腺機能を正常化したり、糖尿病のコントロールを図り、妊娠を計画します。
血栓性素因に関しては当院では主に低用量アスピリン療法とヘパリン療法を行っております。

血栓性素因(抗リン脂質抗体症候群、血液凝固因子異常)が原因の患者さんでは、胎盤の母体血液から胎児の臍帯へと酸素や栄養をやりとりする場所に血栓ができやすくなり、血栓により血液循環が悪くなり、流産や死産を起こす事になります。

ですから血栓症のリスクの高い患者さんには血液を固まりにくくする治療が有効であり、当院では低用量アスピリンの内服とヘパリン皮下注の併用を実施しています。
ヘパリンの皮下注は当院ではご自身で自宅で注射をしていただく在宅自己注射を指導しています。

まず、妊娠初期にご来院いただき、院内で何度かヘパリンの皮下注射をご自身にしていただき、その後は毎日欠かさず在宅で自己注射をしていただきます。
また、この治療は保険診療ですので、費用面でもそんなに自己負担が多くありません。

流産を経験された方、あるいはできるだけ流産を避けて家族計画を望まれる方はご相談ください。

不妊症

花

生殖可能な年齢にあり、正常な性生活を営んでいる夫婦が、2年以上経過して妊娠の成立をみないものを不妊症といいます。主な不妊症の原因として排卵因子、卵管因子、頸管因子、着床因子、男性因子などがあり、これらが複合的に関わりあっていることもあります。

当院では、これらの原因検索をおこなうとともに、ご夫婦の希望をお聞きして、タイミング療法およびAIH(夫の精子を用いる配偶者間人工授精)を実施しております。

人工授精とは精子を子宮内に直接注入し、精子と卵子の授精の確率を高める不妊治療の一つです。

タイミング療法

自然な月経周期で排卵の認められる方には、基礎体温を計って頂きながらエコー検査等により排卵日を推定し、夫婦生活のタイミング指導を行います。排卵が認められないかあるいは不規則な方には排卵誘発法にて排卵を促しタイミング指導を行います。

AIH(優良精子選別・洗浄法)

治療に用いる精子は男性から採取した精液を運動性良好な精子を回収するために遠心分離し、精子洗浄培養液で洗浄し、精液に混じった細菌や赤血球や白血球も除去します。この精子の処理に30~40分必要です。
処理された精子をやわらかいチューブで子宮の内腔に注入します。排卵誘発剤を使用する場合には多胎やOHSS(卵巣過剰刺激症候群)になることもあります。まれに子宮や卵管に感染を誘発する事があるため1~2日間の抗生剤を内服します。回数は5~6回程度が目安となります。

<不妊治療の保険適用>
2022年4月よりタイミング法及び人工授精による不妊治療は保険適用となりました。ただし適用される対象は、不妊治療計画書にご夫婦(事実婚も含めた婚姻関係にある夫婦)の同意される事等の条件が必要となります。

保険適用時のAIH(優良精子選別・洗浄法)費用

再診料も含め6,000円前後

保険適用外の方のAIH(優良精子選別・洗浄法)費用

16,500円(税込)

男女産分け

また当院では2人目以降の妊娠に関して、男女の産み分け相談も行っております。本来性別は受精卵を形成する精子が、X染色体をもつ精子(女の子)かY染色体をもつ精子(男の子)かによって決定されます。

そして女の子のX精子は酸性に強く、寿命が2~3日で、男の子のY精子はアルカリ性に強く、寿命が24時間とそれぞれ異なった特徴を持っています。だから、排卵のタイミング、膣内の酸・アルカリ調整(女児希望のときはピンクゼリー、男児希望のときはグリーンゼリー)内服薬(リンカル)による体内のアルカリ化などを組み合わせて、希望する性別の精子に有利な環境を作る事により、産み分けの確率を高くすることが可能となります。ピンクゼリー、グリーンゼリーおよびリンカルは保険外=自費診療となります。
※確実に産み分けを保証する物ではありません。

当院で取り扱っているピンクゼリーおよびグリーンゼリーはSS研究会より提供を受けているもので、使用者および出産児への影響がないことについては実証されているものです。またリンカルS錠(リン酸カルシウム)は鉄やリン、カルシウムが含まれた天然の栄養補助食品で、SS研究会より提供を受けているものです。SS研究会のホームページからの引用で「リンカル内服によると思われる副作用や胎児への影響は、現在まで1例も報告はありません。」(2012年6月現在)

費用

ピンクゼリー、グリーンゼリー(1本約20ml) 11,000円(税込)
リンカル(1カ月分) 4,860円(税込)